若松さんへのインタビュー

APiQ!!との関わり

夏合宿(2018年)に向けて新たな農家さんを訪問しようと、糸島の農家さんについてネットで調べていたところ、わかまつ農園さんを発見しました。

 

六次産業にも取り組まれている点に興味を惹かれ、訪問させていただくことに。そこからつながりが生まれ、今に至ります。(北ちゃんより)

農業について

ーオリーブについて

 

「作物には適地適作という言葉がありますよね。

 

オリーブの起源は諸説ありますがは中東アジアと言われ、その後ヨーロッパへ広まっていきました。生育に適した年間降水量としては、200ml程度の場所になります。また、オリーブの木の中にはおよそ3000年前から残っているものもあるそうで、それぐらい生命力の強い植物なんです。」

 

ー大切にしていること

 

「農業に関する知識や情報は、まず『普及センター』から『農協』、そしてそこから『農家』へ"常識”として広がっていきます。

 

先ほども言いましたが、オリーブの生育に適した年間降水量は200ml程度。これに対して九州の年間降水量は2000mlなので、"常識”で考えると九州でオリーブを栽培する事は不可能ですよね。

 

でも、人の意見っていうのは"常識”に過ぎず、やってみないと分かりません。オリーブは庭木として大きくなっているのもあるので、『やってみたら育つ可能性は十分にある』と思いました。

 

"常識”では不可能だと思われていても、追及したらできることはたくさんあるので、「常識を疑うこと」が大切だと思います。

 

― オリーブの生育をし始めたきっかけはどんなことですか?

 

私は、15年前は飛行機の整備をするお仕事をしていました。公共交通機関なので休み無く飛行機は飛んでおり、役職が上がると益々昼夜逆転で仕事のことばかり考えていました。

 

 そんな生活を続けていたある日、脳腫瘍と口が開かなくなる原因不明の病になりました。『このままこの生活を続けたら死んでしまう』『自分がやりたいことをやりたい』と、そう思うようになりました。

 

そう考えたとき、やりたいことは「場づくり」だと思いました。そしてその中でも食にフォーカスしました。

 

私はイタリアンが好きで、イタリアンに多く用いられる食材と言えばオリーブですよね。『それにとことんこだわるなら、自分で作るのが一番。』と考えたのでオリーブづくりを始めました。

 

最終的には山や海、空気がきれいな場所にカフェを作って泊まれるようにするのが理想ですね。」

 

― 無農薬で農業をする理由はなんですか

 

「農薬と使うと死ぬ生命があるからです。

 

それぞれの立場や考え方がありますので、違う立場の人(農薬を使用することを選ぶ人)のことは否定しませんが『人間がマスクをして使うようなものをそもそも植物に使用する必要があるのか?』と自身は考えています。

 

どうせやるならとことんこだわりたいですし。

 

また、農業に必要な窒素、リン酸、カリウム等の化成肥料は地下資源から採取されています。中国などでは劣悪な環境から採取していますが、取るだけでは何も生み出すものはないですよね。

 

いつかは枯渇する可能性があるので、地下資源に頼らず、もみ殻や油かすなどの有機肥料を使うことにしています。

 

それから、有機農業をやっている人は少ないので『だからこそやってみる価値あるのでは?』『変わったことをやる人がいてもいいのでは?』という風に思っています。」

 

― 意識していることはなんですか

 

「循環を意識しています。

 

以前は何も考えていませんでした、というか考える暇もなかったのですが。整備士の頃は稼いで買ってまた稼ぐ・・・、の繰り返しで”消費社会”の中で生きていました。今の社会ってそういうところありますよね。

 

(以下わかまつ農園HP参考:http://itoshima-olive.com/

でも、今考えてみるとその行動は自分にとって幸せとはいえないものでした。

 

もちろん、それぞれにそれぞれの価値観がありますから、『無農薬だからそれが完全に正解なんだ』みたいな偏った見方はしないし、例えば会社員で生きる事を幸せに思う人もいれば、独立開業することを幸せに思う人もいます。

 

個人にとって『何が幸せであるか』は違うので、現代は『個人の幸せを自分が責任を持って掴む時代』だと思っています。

その中で『自然由来を原料にし1年で出来る資源で未来に"つなぐ”農業をすること』が私にできる幸せの形なんです。」

 

 ― 若松さんにとって農業とは?

      

「幸せのための、一つのツールです」